2013年5月28日火曜日

家庭医療スプリングキャンプin黒松内

5月25日(土)〜26日(日)の2日間、勤医協黒松内診療所のある黒松内町を舞台に「家庭医療スプリングキャンプ」を開催しました。この企画は、昨年12月に行った「ウインターキャンプ」の“続編”です。

初期研修医の診療所研修に併せてウインターキャンプ同様、月寒・余市の両診療所からも職員が参加して行われました。今回は、家庭医療の肝である「地域指向のケア」と「患者中心の医療」を学びのテーマとし、黒松内町に暮らす人々との交流や職員同士でのセッションを行いました。

「Photo Elicitation」
Photo Elicitationとは、インタビュー調査を行う際に、インタビューを受ける人に写真を撮ってもらい、その写真を用いてインタビューすることで"その人の思い"をより深く知ることができる手法です。

脳機能は言語の情報を処理する部分よりも映像の情報を処理する部分のほうが飛躍的に発達しています。Photo Elicitationは、映像を用いることで単に多くの情報を引き出すのではなく、異なる種類の情報を呼び起こすことができるのだそうです。

この手法を使って、黒松内に暮らす人々の思いを知ろう!と、黒松内に移住してきた方々に写真を撮ってもらいました。(時間の都合により今回は実際に写真を用いての議論まではいかなかったので、これは今後取り組んでいくことになりました。)

「家族看護学」
家族看護とは、家族が直面している健康問題に対し、主体的に対応し問題解決できるように、本来家族が持っているセルフケア機能を高めることです。

患者の療養生活には家族が大きな影響を与えており、その家族が変化し健康問題を解決していくことを援助するのが看護職(医療者)の重要な役割となります。

今回はいくつかの家族アセスメントの中から「カルガリー式家族看護モデル」について学びました。カルガリー式家族看護モデルは、家族の起こす機能障害を円環的パターンで捉え、仮説を立て、悪循環パターンを明らかにする方法です。実際に事例を用いて、家族図作成と仮説の立案(インタビュー準備)に挑戦しました。

家族内の関係性は?健康問題の悪循環パターンはどこにある?認知・感情・行動のどの領域から援助したらよい?参加者それぞれが患者さんや家族の立場になって抱えている困難を出し合い、どのようにアプローチしていくことが可能かを話し合いました。

そして今回、とっても素敵な出会いがありました!!

黒松内に移住して活動している水墨画家の上田茂さんと民宿&喫茶店を営む田中さんご夫妻です。

移住の経緯や今の暮らし、黒松内という地域への思い、これからの活動について・・・たくさんの葛藤や苦悩もありながら、この黒松内の雄大な自然に溶け込み、そして人生を主体的に生きている、確固たる信念を感じる方たちでした。この方たちとの出会いは、私たちにとって黒松内という町をさらに魅力的なものにしてくれました。

たくさんのアセッツがある黒松内。ここで地域医療にどう取り組んでいくか。たくさんのヒントをもらった2日間でした。